FifteenHounds-フィフティーン・ハウンズ-

ブランド
MUYM (作品ページ
発売日
2010/02/26
プレイ時間
15〜20時間
レビュー更新日
2010/03/27

レビュー

 近未来からやってきた3グループ15人の未来人は、互いの世界の存亡をかけて戦いを繰り広げていた。

 この戦いに人質として巻き込まれた主人公は、未来人と行動を共にしながら、戦いの中で殺害された無関係な少女の仇を討つことを決意する。

 ナルシスト、ハードゲイ、毒舌ロリ、巨根ショタ、中二病キモオタ――手加減抜きで殺しあう未来人たちの背後から真相を探る主人公。

交錯する思惑の行く末は。
少女を殺した犯人は、15人の誰なのか。

FifteenHounds-フィフティーン・ハウンズ-

前置き

 本レビューはサークルMUYM様よりゲームをご提供頂きプレイ・執筆したものですが、思ったまま書いてよいとの条件でご提供頂いたものですので、評価基準はいつも通りです。

 MUYM様には、この場を借りて重ねてお礼申し上げます。

全体の感想

 同人作品で全年齢対象のゲーム。フリー作品などで経験がないわけじゃないけど、若干未知の世界だった。

 上記あらすじは公式からの要約と抜粋だけど、読んでの通りやたらと詰め込まれたアクの強いゲーム。設定上ベースはSFになると思うんだけど、所感としては異能力バトルモノといった感じ。

 この手の中二病異能力バトルは大好物なんだけど、商業作品では腐るほどありそうで、ここまで思い切ったものは意外と少なめなので、ゲームから離れ気味の生活だったのに一気にプレイしてしまった。

シナリオ

 先に「中二病異能力バトル」と書いたけど、他のこの手の作品と違うところは、主人公に能力がないこと(本来はあくまで未来の科学技術によるもので、主人公は現代人だから当然なんだけど)と、主人公はただ仕方なく巻き込まれるだけでなく、復讐のために積極的に参加する点。

 前者は中二病バトルモノとして見た場合、若干マイナス点ではあるが、後者の「巻き込まれて仕方なく」以外の理由も持って戦いに参加する点は、このジャンルではありそうで少ないため新鮮だった。


 また、選択肢・分岐が多く、10個のEDが用意されている模様。

 しかし、その一方で混じりっ気なしの100%ハッピーエンドはなく、エロゲー業界のご都合主義万歳な風潮に慣れていると面食らう。

 この点を踏まえ、鬱ゲー(そこまでのものではないけど)として見ると、ヒロインが主人公に対して呪詛の言葉を吐きながら未来へ帰還した「ED.10 LIKE TEARS IN RAIN」は特に秀逸。

 悔やまれるのは、登場人物の多さと話の複雑さから、ヒロイン一人一人について自然に描ききれてなかったため、このラストシーンで迫力を出し切れていなかったこと。恋愛要素は薄いゲームではあるけど、ED.10に入るルートではヒロインは主人公に惚れていたため、「1クリックで事後」形式で既成事実を作っておいたり、ヒロインの性格についてもっと丁寧に描写していれば、カタルシスは大きく膨らんだと思う。

グラフィック

 複数原画のようだけど、半ば守備範囲外の同人ゲームのため予備知識がなく、イマイチ勘が働かないのでどう分かれているのか不明。

 原画や塗り別ではなく、ゲーム全体を俯瞰的に評価するなら、同人ゲームらしさはあれど商業作品にも近いクオリティがあると思う。ただ、欲張りすぎかもしれないけど、それだけのクオリティがあるだけに、如何にも同人ゲームらしい絵が出てきてしまうと気になる。

 逆に、同人ゲームらしい実写ベースの背景は然程気にならず、CGも含めてかなりの数が用意されていることには好感。

システム

 既読判定が厳しく、同じ文書と思われる部分でもルートが違うと既読スキップしてくれない。スキップ自体もエフェクト等を飛ばさないため遅い。

 2〜3時間程度で終わるゲームであれば気にならないところだけど、分岐多め・プレイ時間長めなのでストレスを感じた。シナリオ・グラフィック共に商業作品に近いクオリティがあっただけに、システムが取り残されてしまっているのは残念

評価

評価 70点
システム面で-10。商業作品と比較できるレベルにある。

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