――大都市「柳木原」。
おびただしい数のひとと建物がひしめく、巨大な繁華街。
――季節は冬。
空を見上げれば、そこには無表情な白い空。
ありがちな悩みとありがちじゃない悩みを抱えた若者たち。
彼らがである、恋ともろもろ。
それはきっと何処にでもある、ありふれた物語。
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総評
今作は楽しみにしていた人も多いと思う。俺もその1人だ。
「それは舞い散る桜のように」でライターの王雀孫に心奪われ、(それ散るの続きと言われる)けれ夜マダーなどと愚痴り、おれつば発表から今日に至るまで長い冬を耐えてきた。おれつば発売カウントダウンが始まった時だって信じなかったくらい長い長い冬だった。
そんな俺のような信者の方たちは、公式ページを何度も舐めまわすように見てきたし、当然〜Prelude〜だってやったことと思う。しかし、いざプレイしてみるとどうだ。「え?異世界ファンタジーなん?」という展開である。超驚いた。あと失望した。
でも安心して欲しい。本作は異世界ファンタジーではない。詳しくはネタバレになるので書けないが、とりあえず安心して欲しい。
シナリオ
俺は確かに近作に多大な期待を寄せていたが、唯一「複数主人公もの」であることが不安要素だった。この手のゲームは大体ロクなことにならない。これはご覧の皆さんも、肯定はせずとも、何となくわかってくれるだろう。
先と同じ言葉を繰り返すことになるが、でも安心して欲しい。プレイ後半になればその不安も解消される。これまた詳しくは書けないが、複数主人公であることを理由にプレイを避ける必要はない。
さて、肝心の出来はというと、笑える。とりあえず笑える。それ散ると並ぶ……かどうかはわからないが、少なくともそんじゃそこらのゲームより笑える。特に鳳鳴は、それ散るで小町が好きだった人にはたまらない感じ。
しかし、泣けたとか感動したといったベクトルの話になると、これは微妙。笑い要素以外にも、プレイヤーを物語りに引き込む「おもしろさ」は確実にあるのだけど、泣けはしない。たぶん。
それに伴い、どうも山場に欠ける印象で、全体としてはおもしろいのに締まりがない印象に。もうちょっとあからさまな山場を挟んでくれても良かったんじゃないかな。1周ごとの文量はかなり多いのに、だれてこないところは流石だけど。
各主人公・ヒロインごとの感想はあまりに長くなりすぎるので省くが、1つだけ。
鷹志の性格が貧弱すぎて萎えた人は、めげずに頑張ってください。シナリオ後半に入ると「鷹志いいやつじゃねぇか……」って気がしてくるはず。
グラフィック
西又絵。
他に言うべきことはない。
システム
「前の選択肢に戻る」なども含めて、必要なものは一通り揃っていて文句はない。
インターフェイスも主張しないスマートさで良い。
評価
点数 90点
待ちに待った喜びで基本100点。シナリオの締まりのなさで−10点。
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